人工臓器
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全身加温による悪性腫瘍の治療
横山 正義長柄 英男板岡 俊成中島 秀嗣和田 寿郎
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1983 年 12 巻 2 号 p. 701-704

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抄録
悪性腫瘍組織を摂氏42度に温度上昇させると、腫瘍組織が血行障害を生じ、酸性にかたむき、懐死におちいる。
癌が転移している場合、局所的加温のみでは治療とならないので、全身加温が必要である。その最も容易な方法は体外循環による血液加温である。左側または右側の大腿動脈より脱血し、250mlのリザバーに貯血し、熱交換器を介して、44~45度の血液を同側の大腿静脈に送血する。人工心肺装置を使用すれば、容易に1~2l/分の流量を得る。
本法で加温を開始すると、30~40分間で37度から42度に上昇する。ここで抗癌剤投与を施行すると同時に、3~6時間、この温度で体温を維持する。
これまで8症例に19回の治療を行った。肺癌3例、肝癌2例、乳癌1例、胃癌1例、前立腺癌1例である。治療前疼痛のあった3例は、痛みが軽快している。また他の例でも癌病巣の進行停止が観察されている。
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© 一般社団法人 日本人工臓器学会
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