1983 年 12 巻 3 号 p. 821-827
われわれは実験成績にもとづきホロファイバー型肺の臨床応用を開始したので気泡型肺との比較を行ない報告する. 上行大動脈送血, 上下大静脈落差脱血, one pump systemで開心術を施行した31例を対象に使用肺による差異を検討した結果, (1) ホロファイバー型肺は気泡型肺に比べ充填血液量は37%節減でき(p<0.01), (2) 溶血量は前者0.209, 後者0.483mg/dl/minでホロファイバー型肺に少なく(p<0.05), (3) ホロファイバー型肺では乳酸代謝からは体外循環中好気性代謝が保たれ, (4) one pump systemでもホロファイバー型肺はCVP 200mmH2O以下, 灌流量65~91ml/kg/min, 灌流圧61~68mmHgが維持でき, (5) 酸素血流量比0.4でPaO2値は37℃補正後, 374~443mmHgが保たれ酸素加能にすぐれていたが, (6) 体外循環中PaCO2値は上昇していく傾向があり混合ガス供給装置を併用するほうが安全と考えられた.