抄録
補助人工心臓の臨床応用が進むにつれて, これから離脱できない症例に対応するための, 長期間使用が可能なシステムの開発の重難が示唆されている。本研究では, 長期間使用を目的とした完鯉込型システムの開発の第一段階として, プロトタイプを設計, 試作し, その実験結果から将来のシステムの設計指針を得た。ブラシレスDCモータとボールネジにより, 回転―直線運動変換を行ない, プツシヤープレート型ポンプを駆動するアクチユエータをソフトウエアで制御した。in vitro実験の結果, モータのトルク不足が主因となってスピード, 拍出量が共に不足で実用には至らなかった。この実験結果からの計算によれば, 機械的まさつによるトルク損失は全トルクの29%であった。NIHの規準に従って必要なモータ仕様を計算したところ, 回転数3600rpmのときの連続トルクが1.76kg・cm以上必要であることがわかったので, この方向でさらに研究をすすめることにした。