人工臓器
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完全置換型人工心臓―長期生存の問題点について
岩谷 文夫星野 俊一猪狩 次雄井上 仁高野 光太郎阿部 俊文安藤 正樹菅野 恵丹治 雅博佐戸川 弘之武藤 淳田崎 哲典本多 憲児湯浅 貞雄
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1984 年 13 巻 1 号 p. 121-124

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抄録
1980年2月より1983年8月までに, トーマス型人工心臓による完全置換型人工心臓の植込み術を仔牛を用いて23回行なった。
4週間以上生存は3頭で, 最長生存は66日であった。死亡原因別にみると. 人工心臓に関連したものが11例(48%)と約半数を占め, 以下, 血栓形成が5例. 駆動装置異常3例, 手術手技2例, その他2例であった。人工心臓に関連した死因では人工弁トラブルが5例と多く, また駆動膜破損が2例にみられた。長期生存3頭の死因は, 血栓形成と駆動膜破損で, いずれも極めて重大な問題である。血栓形成に関しては感染が大きな役割を演じており, 感染のなかった66日例では人工心臓内に血栓形成を認めなかった。駆動膜破損に対しては, 従来より行なってきた, 拡張期位での血液側膜作成を, 収縮期位で行うことにより耐久性の向上を図っている。
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© 一般社団法人 日本人工臓器学会
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