2024 年 61 巻 2 号 p. 159-164
Atypical teratoid/rhabdoid tumor(AT/RT)は2歳以下の乳幼児に好発し,非常に予後不良の疾患である.SMARCB1またはSMARCA4の不活性化が特徴であり,ラブドイド腫瘍素因症候群が疾患背景に存在することも多い.末梢血幹細胞救済併用の超大量化学療法が積極的に試みられている.上衣腫は発生部位で分類され,さらに分子生物学的に分類される.小児にはテント上とテント下が多く,テント上は融合遺伝子異常によりZFTA融合型とYAP1融合型,テント下はDNAメチル化状態によりPFAとPFBに分けられる.ZFTA融合型とPFAが予後不良である.いずれの群においても外科切除が最も重要であり,放射線治療や化学療法に関しては手術摘出度や分子分類に基づいて施行される.胚細胞腫瘍は神経下垂体,松果体,基底核に好発する.本邦に多い腫瘍であり,松果体が原発の場合はほぼ男児であることなど,遺伝的要素が疾患背景にあることが強く示唆される.ジャーミノーマと非ジャーミノーマに分類されるが,非ジャーミノーマにおいては,未熟奇形腫が主体である群(中等度悪性群)とそれ以外の悪性胚細胞腫瘍に分類されて治療が行われる.ジャーミノーマは化学放射線治療感受性の極めて高い腫瘍であり高い治癒率を示すが,神経症状は不可逆的であるため,早期発見・治療が望まれる.非ジャーミノーマに対する治療法は確立されておらず,今後の臨床試験の結果が期待される.