抄録
生体の血液循環系を, 制御用コンピュータを付加した機械式モデルを用いて循環系各部の圧力バランスのシミュレーションを行なった。機械式モデルは, 20kgの成犬を対象に容量・コンプライアンスを設定した。機械要素は, 心臓に空気圧駆動式直管型拍動ポンプ, 血管系にはラテックスゴム製弾性管, 末梢・肺容量にはタンクを用い, 動脈・末梢・肺の各抵抗は集中定数化してニードル弁を使用した。また, 血圧調節機構として自律神経系による動脈圧の動脈抵抗に及ぼす影響をGuytonのDigital Simulation Modelを用いて評価し, サーボバルブの圧力に対する比例感度を適切に設定することにより良好な結果を得た。さらに, Frank Starling則に従った心拍出機構をモデル化して, 系全体の安定性について検討を行なった。その結果圧力が静定するまでの時定数・定常偏差とも, 2系統の制御系を変化させることにより良好な結果を得ることができた。