人工臓器
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遠心ポンプとローラーポンプ
―実験的体外循環による比較検討―
松倉 裕美鵜沢 茂樹合田 俊宏竹田 治土酒井 圭輔川上 敏晃田辺 達三
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1984 年 13 巻 1 号 p. 266-269

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抄録
血液の粘性を利用して血液駆出を行う遠心式ポンプ(Bio-pump)と常用されるローラーポンプの比較検討を行った。モデル閉鎖循環回路による24時間灌流の結果, 遠心式ポンプはローラーポンプに比べ溶血が少なく, 血小板数保護作用が認められた. 雑種成犬による2時間の体外循環実験ではCVP 150mm H2O以下で灌流量84~91ml/Kg/分, 灌流圧70~75mmHgが容易に維持でき, ローラーポンプと等しい体外循環が可能であった. 動脈脈血ガス分析にも両群間に各測定時点で差を認めなかった. 乳酸代謝からは体外循環中好気性代謝が保たれる可能性が示され, 酸素消費率からも遠心式ポンプはローラーポンプに比べ有利なことが示された. 遠心式ポンプは体外循環においても溶血を減少させた. 遠心式ポンプは内蔵するオートフローモードを使用すると容易に定常流が得られ, 体外循環手技が安全かつ簡単になると考えられ, 本ポンプの特性を充分に理解すれば臨床応用が可能となると考えられた.
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© 一般社団法人 日本人工臓器学会
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