抄録
従来の石油ピッチ系活性炭にジルコニウム化合物を添着し, 選択的リン吸着作用を有する腎不全治療用活性炭(Z-Ac)を開発した。Z-Acは活性炭内に非晶性ジルコニウムが均等に分布し, 水溶液系の実験ではZ-Ac 1g当り5.1mg, 添着した酸化ジルコニウム1g換算58mgのリンを吸着した。ヒト血漿系を用いた吸着実験ではZ-Ac 1g当り1.0~1.25mgのリンを吸着したが, 同時にCaも吸着したため, Z-AcをCa溶液で処理したところ, P, Ca吸着比が約10:1にまでP吸着の選択性が向上した。Z-Acのクレアチニンなど他の溶質除去能はジルコニウム添着によっても阻害されず, Z-Acからのジルコニウム溶出も認められなかった。poly-HEMAで被包化したZ-Acを用いてイヌに直接血液吸着実験を施行した所, 充分なリン吸着能と血液適合性が確かめられた。以上より, Z-Acは従来の活性炭の溶質除去能を保ったまま, リンへの選択吸着能を持ち, 腎不全治療に有用な吸着剤と思われた。