人工臓器
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抗凝固剤としてのカルバサイクリン誘導体(CS-570)の実験的血液透析への応用
佐々木 重人大橋 文人伊藤 福美森田 明小林 晋作佐々木 伸雄竹内 啓
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1984 年 13 巻 3 号 p. 1235-1238

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抄録

血液透析時には抗凝固剤として一般にヘパリンが使用されているが, ヘパリンを使用した場合に種々の問題があることは周知の事実であり, 従来よリヘパリンに代わりうる新しい抗凝固剤の開発が期待されている。今回我々は最近開発されたPGI2アナログ:CS-570を抗凝固剤として使用して血液透析を実施し, 透析中のPlt, WBC, RBC, 血小板凝集能, PT, APTT, 血圧, 回路内圧などの測定結果から, 本剤の有用性についてヘパリンによる血液透析時と比較検討した。その結果, CS-570使用例ではヘパリン使用例に比べ, 透析時において血小板凝集が強く抑制され, 回路内圧を極めて低い値に維持でき, 非常に円滑な5時間の血液透析が可能であった。また, 投与量によっては血圧の低下がみられたが, 適切な投与量の選択により, 血圧を異常に低下させることなく血液透析が可能であった。したがって, CS-570は, 今後血液透析の抗凝固剤としての臨床応用が十分に期待できるものと思われた。

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© 一般社団法人 日本人工臓器学会
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