人工臓器
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血液濾過療法用重曹補充液の開発
児島 弘臣宍戸 寛治中山 蟻高橋 健秋沢 忠男越川 昭三鈴木 正司平沢 由平
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1985 年 14 巻 1 号 p. 144-148

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抄録
血液濾過療法用補充液のアルカリ化剤に起因する問題点を解決する目的で, 新方式の重曹補充液を開発した。本法では従来の重曹非含有液に重曹を注入する方式を改め, 重曹含有液にCa, Mgを補充する方法を用いた。補充液はNaCl, KCl, NaHCO3より成るA液とCaCl2, MgCl2, ブドウ糖, 酢酸ソーダを含むB液を、使用時100:1に用手混合し, 最終濃度はNa 140, K2.0, Ca 3.5, Mg 1.O, Cl 111, HCO3 35, CH3COO. 0.5mEq/l, ブドウ糖100mg/dl, PH 7.35となる。本組成は混合後24時間の室温放置によっても変化せず, その安定性が確認された。4例の透析困難症例, 重症合併症例での検討では本補充液を用いた血液濾過で安定した治療が可能であり, さらに十分な電解質, 酸塩基平衡是正と溶質除去効果が認められた。また, 5ケ月間にわたる長期使用によっても補充液に起因する副作用はみられなかった。以上より, 本補充液は今後幅広い腎不全症例の治療に有用であると考えられた。
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© 一般社団法人 日本人工臓器学会
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