人工臓器
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EVAL膜透析とセルロース膜透析の臨床的比較
申 曽洙新光 聡子藤田 嘉一井上 聖士坂井 瑠実西岡 正登駒場啓 太郎
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1985 年 14 巻 1 号 p. 170-173

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抄録
クラレ社のEVAL(C, D)膜は蛋白を漏出する特殊な透析膜であり、これらと従来のセルロース系透析膜のCupmphan(CUP)膜及びCollulose Acetate(CA)膜を比較する. と、各膜HFKの小分子量溶質の除去率とクリアランスはEVAL膜で小さくCUP膜で大きく(CA膜はこの中間)、大分子量溶質のSieving Coefficient(SC)はこの逆にEVAL膜で大きく、CUP膜で非常に小さかった(CA膜はやはりこの中間)。EVAL膜の中では、EVAL-C膜のSCが、Prolactin以上の大分子量溶質についてEVAL-D膜より有意に大きかった。セルロース膜透析とEVAL膜透析の2群9例の外来透析各20ケ月余の臨床経過から、EVAL膜透析で血小板数、白血球数、P、Cholestoml、Fibrinogenの上昇傾向とAlbumin、IgGの低下、Cuprophan膜HFK透析でCreatinineの低下とCaの上昇が観察された。以上、EVAL膜透析は、蛋白ロス(Albumin、IgGの低下)とそれに伴うと思われるCholostorol、Fibrinogonの上昇とともに、血清Caの低下とPの上昇が特徴的であり、また、血小板数と白血球数の上昇傾向が観察され、興味深かった。
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© 一般社団法人 日本人工臓器学会
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