Closed-loopインスリン皮下注入アルゴリズムによる血糖制御特性

抄録

著者らが既に開発した微小針型ブドウ糖センサを備えた携帯型人工膵島の長期臨床応用には, 現時点において, インスリン皮下注入が必要となる。
今回, インスリン皮下吸収モデルを用い, インスリン皮下注入時の血漿インスリン動態を数値解析し, 血糖値の比例・微分動作に基づくclosed-loopインスリン皮下注入アルゴリズムを開発した。さらに, シミュレーションに基づき追究した至適パラメータの選択により, 本アルゴリズムの応用は, 膵摘犬および糖尿病患者の血答応答反応を臨床上, 有用な範囲に制御し得た。このclosed-loopインスリン皮下注入アルゴリズムの開発は, 携帯型人工膵島の長期臨床応用を可能とするのみならず, 皮下インスリン注射療法のあり方に, 多くの示唆を与えるものと考える。