人工臓器
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人工関節と社会復帰
山室 隆夫
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1985 年 14 巻 2 号 p. 551-553

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抄録

患者の日常生活動作を改善するために, 或る関節の人工関節置換術が必要であると判断される場合には, どの関節であろうとも人工関節が応用できるようになった。そして, 手術により関節の無痛性, 可動性, 支持性がえられるようになったので, 著るしい関節破壊をきたした関節疾患を有する患者の社会復帰は画期的に促進されている。特に, 股関節, 膝関節, 手指関節の人工関節置換術は必要度も高く効果も大きい。しかし, 若年齢層の患者に対して用いると, 人工関節の耐用年数に10~15年という限度があるので将来に問題を残す。耐用年数を長くするために, 材料の改良や手術法の改善が試みられている。また, 悪性関節リウマチ, SLE, 強直性脊椎炎などは全身性疾患であるので, 多関節置換術を行なっても患者の社会復帰は不十分であり, 原疾患者に対する綜合的な対策が望まれる。

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© 一般社団法人 日本人工臓器学会
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