抄録
腸管機能の廃絶した患者において, 静脈栄養法は消化吸収能を兼ね備えた腸管に代わるべき「人工腸管」としての役割を果にしている。このような患者における家庭復帰・社会復帰を目ざした人工腸管システムの開発は多大の福音をもたらした。われわれは人工臓器の必要条件とされる安全性・確実性・携帯性・簡便性を考慮した人工腸管システムを独自に開発した。このシステムは輸液バッグ, 輸液回路, 持続注入ポンプ, ジャケットからなっている. そして一定の患者を選び充分な教育を行った後に退院せしめ家庭復帰・社会復帰を試みた。都合8名の患者に4~69カ月平均約30ヵ月行なった。その結果合併症副作用は極めて少く家庭復帰・職場復帰の点でもほぼ満足すべき結果を得た。