人工臓器
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補助循環の臨床
―IABP, V-Aバイパスを中心に―
岡田 昌義松田 昌三小沢 修一中村 和夫山本 信一郎鶴田 宏明小川 恭一
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1985 年 14 巻 2 号 p. 559-566

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抄録

現在までに教室及び関連病院において92症例にIABPが実施された。その内訳は心筋梗塞後の心原性ショック37例(I群), 開心術後のショック並びにLOS51例(II群), 不安定狭心症4例(III群)であった。症例の年齢は34~82歳(平均62歳), IABPの実施時間は1~408時間(平均70時間)であった。I群では18例(48.6%)を, II群では36例(70.5%), III群では全例をIABPから離脱することができた。この成績の向上は, IABPの有効性に加えてタイミングのよい緊急手術がその要因であった。また, IABPによっても効果のえられなかったII群の51例中10例ではIABPに加えて膜型人工肺を用いるV-Abypass(ECMO)を実施し, うち6例を補助循環からの離脱に成功を収めたが, 重症の多臓器障害(MOF)例が多く2例で長期生存をえた。IABPが無効な症例でもV-Abypassは有効であったが, それもbypass flowが1.5l/min以下の場合であって, それ以上の補助が心要な場合には, 人工心臓を用いる強力な補助循環が必須と考えられた。一方MOFの予防と対策も重要な課題であった。

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© 一般社団法人 日本人工臓器学会
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