抄録
心原性ショック例, 体外循環離脱目的および術後低拍出量症候群などに対し, 計101例で大動脈内バルーンパンピング法を施行し, その効果と限界に関し, 若干の知見を得た。
すなわち開心術中, 術後の使用では, 心係数1.84l/min/m2以下, 肺動脈懊入圧25mmHg以上, CVP25cmH2O以上などき示す症例では, IABPによる補助効果は期待しがたく, さらに有効な補助循環手段が必要と思われた。
また, 開心術後2例において, IABP無効の症例で, 補助人工心臓の使用を経験し, いずれも著効を示し, システムからの離脱に成功したものの, 長期生存は得られておらず, 今後の基礎的ならびに臨床的進歩が期待されるものと思われた。