人工臓器
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補助循環の臨床―V-Aバイパスの適応と限界―
松田 暉広瀬 一中埜 粛白倉 良太榊原 哲夫大谷 正勝金香 充範西垣 恭一笹子 佳門大久保 修和野村 文一三浦 拓也川島 康生
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1985 年 14 巻 2 号 p. 576-579

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抄録
開心術々後の重症心不全に対するV-Aバイパス法(VAB)は, 比較的容易に行える反面, 出血, 感染といった問題が多く, 左室補助人工心臓の出現と共にその臨床的意義の再検討が必要となった。過去3年間におけるVAB施行例は16例で, 先天性心疾患10例, 後天性心疾患6例である。適応よりみると, 体外循環離脱不能(I群)が5例, 術後早期のLOSないし心停止(II-a)が5例, 他の術後心停止後の蘇生(II-b)が6例であった。離脱に成功したのは16例中3例でI群の1例(13時間)とII-a群の2例(68時間と34時間)であった。VAB時間よりみると1.5l/min/m2以上の高流量を要した時間が48時間以内のもので離脱が可能であった。VAB後の血中CPK-MB値では, 上昇傾向を示すものでは離脱は不可能であった。出血の問題を克服するため, ヘパリンの代りにPGI2-analogueの応用を実験的に試みた。今回の検討より比較的短時間(24-48時間)で心機能の回復が予想されるものでは, VABの適応があり, より長期を要するものは合併症も多く救命はより困難となると考えられた。
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© 一般社団法人 日本人工臓器学会
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