抄録
当施設における過去7年間の補助循環適用症例244症例をretrospectiveに分析し, IABP適用の再評価とより効果的な使用法の検討, IABPの限界を越えた重症例に対する補助人工心臓(VAD)の適用, おびVADを含めた治療体系の確立を試みた。IABPの治療的適用では, 心筋梗塞後心原性ショックは極めて不良であったが, 体外循環離脱困難および術後LOSの成績は平均以上であった。治療兼予防, 開心術症例に対する予防的適用の成績は極めて良好であったが, このcriteriaにありながら適用しなかった症例には, 後刻重症心不全の発生をみた。又, IABPの限界を越えた術後LOS, および中隔穿孔を合併した急性心筋梗塞にVADを適用し, 回復せしめ得た。VADが極めて強力な補助手段であることを確認した。以上の成績を基にして, 重症心不全に対するIABPおよびVADの適用病態と適用基準等治療体系の確立をおこなった。補助循環法による急性重症心不全の治療指針の一助としたい。