人工臓器
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Multiple Organ Failure(MOF)の管理と人工臓器
山本 信一郎小川 恭一鶴田 宏明中尾 守次麻田 達郎良原 久雄樋上 哲哉石橋 悦次山崎 富生
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1985 年 14 巻 2 号 p. 581-585

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抄録
開心術及び大血管手術259例中, 心, 腎, 肝, 脳, 肺及び血液凝固系障害のうち3臓器不全以上を伴った多臓器不全22例を経験した。VAバイパスを4例に施行し3例は離脱, 1例は生存した。IABPを10例に施行し8例は離脱し3例は生存した。血液透析(HD)は13例に計112回施行し5例は離脱, 4例は生存した。血漿交換(PH)は5例に計10回施行し1例を救命した。HFVを3例に施行し2例は離脱, 1例は生存した。つまり我々はMOFに陥った22症例中8例(36.3%)を救命し得た。
LOSに引き続くMOFにおいて81.8%の症例は二次的に腎や肝が障害され, 11例(50%)は肝腎ともに障害された。尚, 22例中18例(81.6%)にDICを合併した。MOFに感染症を併発すると全身状態が一挙に悪化し死に至ることから全身栄養管理及び感染予防も大切であるが, HDやPEによる補助を行う場合もMOFの一環として病態をとらえ, 血行動態に左右されることなく早期に開始時期を決定することが重要である。
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© 一般社団法人 日本人工臓器学会
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