抄録
肝疾患28例, 免疫疾患26例, 膵疾患2例に対し血漿分離法を基盤とした各種血液浄化法をおこない, 以下の成績を得た。1) 肝再生が期待できる肝硬変非合併症例の術後に発生した肝不全に対しては, 血漿交換は有効である。2) 慢性肝内胆汁うっ滞症に対しては, 掻痒感の消失など臨床症状の改善は得られるものの, 病勢の進行をとめることは難しい。3) 免疫疾患に対する血漿交換は, 免疫抑制剤などの薬物療法を補助する強力な一手段である。4) 急性膵炎における血漿交換は, 血中に逸脱した蛋白分解酵素を除去する点で有効であり, 死亡率の改善が期待できる。