人工臓器
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HBs抗体固定化フィルターによるHBウイルス吸着・除去
大城 孟森 武貞上村 八尋阪本 昇
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1985 年 14 巻 2 号 p. 608-611

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抄録

担体に固定化されたHBs抗体はFabを介してHBs抗原と結合するのみならず, HBs抗原でおおわれたDane粒子(B型肝炎ウイルス)とも結合することが考えられる。そこでわれわれはHBs抗体固定化フィルターを試作, 基礎実験を行い次の成績を得た。
1. 固定化HBs抗体はHBs抗原を特異的に吸着した。またDane粒子を吸着・除去した。
2. 同フィルターの吸着・除去能は高抗体価のHBs抗体を固定することにより増大した。
3. 同フィルターの吸着・除去能は線維にGantrez処理またはSMA処理を施こすことにより増大した。
以上の成績から, われわれはこのフィルターが輸血および輸血漿によるB型肝炎の予防に役立つものと考えるとともに, 理論的にどの程度のフィルターを試作すべきか考察した。なおこの原理および技術はその他の免疫吸着法にも巾広く利用されうるであろう。

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© 一般社団法人 日本人工臓器学会
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