人工臓器
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ポリエチレンオキサイド鎖を有するポリマーの体外循環法による評価
森 有一長岡 昭二板垣 一郎西海 四郎丹沢 宏
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1985 年 14 巻 2 号 p. 660-663

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抄録
側鎖に長鎖ポリヱチレンオキサイド(PEO)を有するメトキシポリヱチレングリコールメタクリレートをポリ塩化ビニルにグラフト重合したポリマーの血小板および内因性凝固因子に与える影響を家兎を用いた体外循環法により評価した。長鎖PEOの導入は体外循環中の血小板数の低下, 血餅退縮能の低下およびカルシウム再加凝固時間の短縮をそれぞれ効果的に抑制した。また血液成分, 特に血小板の材料表面への付着を著しく抑制した。これらの事実は, 血小板は異物面接触などによる刺激を受けると血小板膜に変化が生じ粘着能あるいは内因性凝固因子活性能が亢進すると言われているが, 血液との界面に存在する柔軟性および親水性に富む長鎖PEOに由来する排除体積効果が一種の緩衝効果の役割を果して血小板膜への損傷を最小限におきえることによって説明される。
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© 一般社団法人 日本人工臓器学会
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