人工臓器
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多孔質ハイドロキシアパタイトの人工気管への応用
大西 清高浜 龍彦金井 福栄飯塚 一郎平石 守田中 洋一出月 康夫浅野 献一吉竹 毅中林 宣男宮田 暉夫苑田 毅市塚 健司
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1985 年 14 巻 2 号 p. 700-703

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抄録
これまで人工気管として使用されてきた材料は必ずしも組織親和性の高いものではなく, 解決すべき問題点が多かった。骨に対して親和性があり既に人工歯根, 人工骨として実用化されているハイドロキシアパタイトを気管と人工気管の接合面に応用する目的で, 多孔質ハイドロキシアパタイト焼結体から幅5綱のChip, Ringを作製し雑種成犬12頭の頸部気管に移植した。移植後40日以後に良好な上皮化と周囲結合織との接着が観察された。さらに光顕的, 電顕的検討を加えたところ多孔質ハイドロキシアパタイトは気管上皮, 軟骨, 気管周囲軟部組織とも良好な組織親和性があることが確認され, 炎症性反応も認められなかった。とくに, 気管軟骨との接着に関して興味深い知見が得られた。管腔保持力があり, 気管軟骨に親和性の高い多孔質ハイドロキシアパタイトは, 人工気管の材料として優れた特性を備えた素材と言える。
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© 一般社団法人 日本人工臓器学会
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