抄録
材料の血液適合性のin-vivoテスト方法としては必ずしも確立されたものがなく, 各材料が異った施設で異った方法でテストされているため, 材料相互間の血液適合性の相違を正しく比較することは容易ではなく, 新しい材料の選択を困難にする原因ともなっている。
本研究は, 複数の材料の血液適合性を同一の動物の状態で同時に比較評価する方法について検討したもので, 具体的には, 人工心臓ポンプを利用してそのサック内の片面に各々11箇所合計22箇所の点を定めて種々の材料を塗布して, 左心バイパスとして動物に装着, 一定期間駆動後, 肉眼およびSEM的に血液適合性の評価を行った。2例の実験結果では, 各材料間の抗血栓性の差違が非常にはっきりと観察でき, 本方法を繰り返えすことによって, 複数の材料の血液適合性のスクソーニングが十分に可能であることが確認できた。