抄録
耐久性、耐摩耗性および抗血栓性に便れた、セラミックスおよび金属材料の開発を目的として、単結晶アルミナおよび窒化チタン、さらにTi表面に、Au、Ni、Cu、Alを直経250μm、間隔400μm、厚さ0.6μm、にスパッタ蒸着した複合金属の抗血栓性試験を行なった。kinetic testでは、単結晶アルミナおよび窒化チタンとも凝固時間は、シリコンとほぼ同程度と、優れた抗血栓性を示した。また単結晶アルミナのGott ring testでは、2週間植え込みで5例全例開存していた。また複合金属の粘着血小板数を計数した。ガラスを基準にして、非粘着血小板数は、Ti:1・15, Ti-Au; 1・25、Ti-Ni; 1・40、Ti-Cu:1・27、Ti-Al; 1・30とTiよりTi複合金属の方が、よい血液適合性を示した。以上より、単結晶アルミナ、窒化チタンおよびチタン複合金属は、耐久性、抗血栓性を要求される材料として有望といえる。