人工臓器
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局所投与による制癌剤含有エチレン-ビニルアルコール共重合体マトリツクスの抗腫瘍効果
宮崎 正三竹内 繁美侯 恵民橋口 典生横内 千鶴子高田 昌彦細川 真澄男古賀 勇隆小林 博
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1985 年 14 巻 2 号 p. 826-829

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抄録
エチレン-ビニルアルコール(EVA1)共重合体中に5-FUあるいはアドリアマイシンを含有させた制癌剤含有EVA1マトリックスを調製し、マトリックスからの制癌剤の放出性とその抗腫瘍効果を検討した。EVA1マトリックスからの制癌剤の放出には徐放性が認められた。また、単にエチレンとビニルアルコールのモノマー比を変えることによりマトリックスからの制癌剤の放出速度を容易に制御し得ることが確認された。さらに、EVA1マトリックスのエールリッヒ腹水癌マウスの腹腔内埋込みにより、担癌マウスの腹水癌による体重増加に対して抑制効果がみられた。また、マトリックス投与群では生存日数が有意に増加した。以上の結果、EVA1共重合体を制癌剤の局所投与材料として用いることにより、患部に対し効率的かつ持続的に制癌剤を放出、作用させることが期待された。
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© 一般社団法人 日本人工臓器学会
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