抄録
一般的に, 医用生体材料, 特に生体内埋植用医用材料が具備すべき性質として, 生体適合性および生体機能性が求められている。我々は, この観点から, 生体適合性の高いコラーゲン合成高分子複合体に, 酵素固定化技術を応用して, 酵素, ホルモンなどの生理活性物質を固定化し生体機能性を兼備した医用生体材料を開発してきた。このような医用生体材料を生体内に埋植するに像して, 細菌感染は重大な障害となっている。また, 細菌汚染巣を有する部位へも適用可能な医用生体材料が希求されている。そこで, これらの点を考慮し, 生体防御の観点より, ペプチド系抗生物質Polymyxin B (PL-B)を固定化した抗菌性医用複合材料を開発した。今回は, この材料について検討を加え, PL-Bの固定化反応条件の基準化を行い, 臨床応用の一段階としてPL-Bを固定化した抗菌性尿道カテーテルを開発し, 実験的検討を行った。