人工臓器
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コロイダルカーボンの生体接合性に関する基礎的検討
北岡 建樹田村 克彦児島 弘臣闘口 孝佐藤 昌志越川 昭三中林 宜男
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1985 年 14 巻 2 号 p. 855-858

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抄録
人工素材と生体との癒合性や親和性を検討するため, コロイダルカーボン(CC)をラット背部皮下組織に植え込み, 肉眼的・組織学的に検討した。予備実験としての角型炭素植え込み実験から, CCと周囲組織との癒合性や親和性が良好であることが確認された。組織学的にも術後3週目で周囲組織との接合は良好で, 炭素材の中に線維芽細胞の侵入が認められた。
特殊技術によりflexibilityのある紐状CCを開発し, 同様の植え込み実験を行った。比較のため炭素を装着しないシリコン, テフロン, ゴアテックスを用いて検討した。対照素材に比較してCC使用時には周囲組織との癒合, 親和性は優れていることが認められた。皮膚表面に素材を一部露出させ, 皮膚貫通部の癒合を検討したが強固に接合し, 十分に固定されていた。組織学的にもCC繊維間に線維組織が密増生し, 癒合性を高めていると評価された。この紐状CCをCAPD用カテーテルに装着する臨床応用が考えられた。
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© 一般社団法人 日本人工臓器学会
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