1985 年 14 巻 3 号 p. 1142-1145
急性心筋梗塞症により心原性ショックに陥った症例はIABPを含む内科的治療を最大限に駆使してもその予後は極あて不良である。今回我々は, このような症例に対しIABPおよびVABによる補助循循下にも積極的に緊急冠動脈造影あるいはPTCRを施行し, 必要に応じ緊急CABを施行してきた。本報告はAMI shock症例34例を対象として検討した。対象は, 男性31例, 女性3例で年令20~80才, 平均年令57.7才であった。内科的治療群は17例で, そのうち15例(88%)はIABPより離脱できず死亡した。他の2例(12%)は, IABP補助より離脱し得たが, うち1例は肺うっ血に基く肺炎を併発, 他の1例はre-attackにて死亡した。IABP補助を要し, 外科的治療がなされたものは17例で, そのうち11例(65%)はIABPあるいはVABを離脱し得た。急性心筋梗塞で心原性ショックに陥った患者34例中救命し得たのは11例(32.3%)で全例補助循環下に緊急外科手術を施行した症例であった。