人工臓器
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Hemo-Concentrator®を利用したSingle Pass限外濾過法による体外循環後の血液濃縮
仲田 勲生徳永 裕之石原 茂樹鈴木 信司赤間 宏副島 健市小柳 仁
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1985 年 14 巻 3 号 p. 1516-1519

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抄録
体外循環血濃縮専用フィルターHemo-Concentrator®を用いSingle Pass Ultrafiltration (SPUF)(1回の濾過により得られた任意の濃縮血を直接送血する)により回路内希釈残血の濃縮・返血を試みた。対象はASD3例, MVR2例, CABG1例であった。1433±314mlの回路内残血から流量50~200ml/分, 陰圧300~400mmHgで700±163mlを限外濾過し, 股静脈から9.5±1.8分で直接送血した。1回の濾過でHtは24.2±2.6%から42.0±42%, TPは3.5±0.2g/dlから8.1±2.6g/dlに上昇した。血液生化学的検査では大分子量物質は億過に比例して濃縮され, 小分子量物質は変化なかった。この濃縮血の返血により患者のHtは約26%から32%に上昇した。同時期に施行された開心術で, 回路内希釈残血をそのまま送血したControl群6例と, SPUF群とを比較した。出血量ではSPUF群の方が少なかったが有意差はなかった。血液生化学検査でも両群間に有意差はなかった。SPUFにより体外循環終了直後から, 適切な濃度の血液を返血でき, 血液節約・ボリューム管理に有力な手段である。
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© 一般社団法人 日本人工臓器学会
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