抄録
従来の医用瞬間接着剤 (シアノアクリレート) の速硬性を維持したまま, 弾性体を与える接着剤の分子設計の基本概念と基本的性質について報告した. 新しく開発された弾性接着剤 (プロトタイプ) は液状反応性ポリウレタンプレポリマーで, 親水性のポリオールの両末端がジイソシァネートでcappingされた構造を有する. 水と接触することにより炭酸ガスを放出しつつ高分子化する. 得られた硬化物は多孔質構造を有する弾性体である. 生体内では, 数分以内に拍動流ストレスに充分耐える力学的性質を示し, 心臓血管外科, 脳外科への応用の可能性が大きいことが示された.