抄録
骨セメントを使用しない人工骨や人工関節が最近盛んに用いられてきているが、その際問題となるのは骨との固定性である。この点に関して今回fibermetal型人工骨を用いて検討をおこなった。今回は荷重によりこのimplantの固定性がいかに影響するかを検索した。雑種成犬を用いfibermetal人工骨を両側大腿骨骨幹部に同時に挿入し、一側には術後3週創外固定器を用い大腿骨を固定して、他側は創外固定を用いず荷重させ、この両群を比較検討した。その結果、術後3か月における所見では、1) fibermetal型人工骨においては、術後早期に強固な固定を得るために、下肢の安静と免荷が重要であり、2) 骨と人工骨表面との固定性をよくするためには、術後早期には荷重を少なくし、porousな間隙に進入する骨組織の量を増加せしめ、3) conical coupling joint周辺では時間の経過とともに強力な骨性の固定が得られ、looseningもみられず、その役割は有効であった。