抄録
成犬に肋骨骨折を作成した。Poly-L-lactic acid (P-L-LA) 製肋骨接合ピンを髄内挿入固定に使用した。短期間の成績は以下の通りである。
(1) 9本中3本は早期に折損し, 肋骨接合部は位置が少しずれていた。
(2) P-L-LAは2~3ヶ月にわたり, 走査電顕上でも有意な形態的変化はみられなかった。
(3) P-L-LAの分子量は次第に低下し, 2ヶ月の時点で50%に低下していた。
(4) 肋骨の組織はP-L-LA挿入部には健常な骨梁を伴う海綿骨があり, 界面にはほとんど炎症細胞もなく, 膠原線維の増生は全くなかった。切断面では骨膜からの硝子軟骨の増生がみられ, 順調な骨修復がおこなわれていた。