抄録
生体よりのエンドトキシン(Et)除去を目的に開発されたポリミキシンB固定化繊維(PMX-F)は、Et血症の原因となるグラム陰性菌に強い抗菌活性を有している。この非溶出性抗菌材料であるPMX-Fの抗菌機序にっき検討した。32P-大腸菌とPMX-Fを振盪後、上清を採取し生菌数、32P活性を測定した。生菌数が対照の5%以下となるのに比べ、32Pは23~53%の低下であり、生菌数の低下は菌の繊維への吸着のみによるものではなく、死菌もしくは菌体成分が遊離状態にあると考えられた。
一方、走査電顕にて繊維表面に菌体は確認出来ず、菌体の形状をなさず吸着していると考えられた。
PMX-Fの抗菌機序は、生菌のPMX-F表面への吸着によるものではなく、菌は破壊された後、一部がPMX-Fに吸着されずに存在しているものの、エンドトキシンを含む細菌成分の多くが、PMX-Fに吸着されていると考えられた。