抄録
生体本来の抗血栓性を備えた血管内皮細胞を合成血管の内面に植え付けて, イヌへの移植実験をおこなった。0.1%コラーゲン分解酵素により, イヌ外頸静脈の内皮細胞を採取したのち, 組織培養技術を用いて細胞を増殖させた。その後, in vitroで, 内径6mmの合成血管内面に回転法によって細胞を植付けた。このグラフトを静脈を切除した同じイヌの大腿動脈にバイパス移植し, 4週間後に回収した結果, 良好な内皮形成が認められた。この方法は, 今後, 小口径代用血管の開発に利用される可能性が高いものと考える。