抄録
現在, 臨床で使用されている各種Polymer tubeに, 積極的に抗血栓性を付与する目的で, 線溶酵素剤, urokinase(UK)を固定化し, 局所線溶能を有する材料を作製した。これらのUK固定化tubeの抗血栓性を, 局所線溶の面から基礎的に検討したのち, 臨床応用し, その有用性を評価した。
UK固定化の担体として用いたtubeは, (1) Nylon, (2) Polyester elastomer, (3) Poly vinyl chloride, (4) Silicone, (5) Polyurethane, (6) Ethylene vinyl acetate copolymerなどである。
何れのPolymerを担体としてもUKは固定化しえた。個定化UKの線溶活性は, 室温保存下で, 少なくとも2年間は安定であった。抗血栓性材料として臨床使用した場合, 従来の材料と比較して良好な結果が得られた。しかし, 担体によっては, 硬度や弾力性に問題があったり, 容易に劣化が生じたり, “線溶能の維持”以外に, 種々な臨床上の問題に遭遇した。