人工臓器
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高含水ポリビニルアルコールゲルの医用材料としての基礎的研究
―生体内埋植後の変化および腸管癒着防止膜としての応用―
田村 康一中村 達雄池 修水野 浩岡田 賢二人見 滋樹清水 慶彦南部 昌生寺松 孝
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1986 年 15 巻 1 号 p. 260-263

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抄録

化学試薬や放射線照射装置などを用いないポリビニルアルコール(以下PVAと略)水溶液の新しいゲル化法を開発した。このPVAゲルは水とPVA以外のものは含まず, 水分量は80~90wt%であり生体組織のそれに匹敵する。高含水であるにもかかわらず, ゴム状弾性を有し, 機械的強度に優れている。本材料の医用材料としての可能性を検討するため, 生体内に埋植し, また心膜補填用癒着防止膜としての応用を考え実験をおこなってきた。今回は, 1年半の長期間生体内埋植した場合の弾性・機械的強度の変化について測定した。その結果, 埋植前のPVAゲルに比べ形体上若干の縮小をみとめるものの, 弾性などにはほとんど差がみられなかった。応用の一環として, 腸管の癒着防止膜として使用したものでは, PVAで被覆した場所には癒着をみとめず, 組織の修復は良好であった。材料自体の弾力性が腸管の蠕動運動をさまたげず, 利点があると考えられた。

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© 一般社団法人 日本人工臓器学会
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