人工臓器
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マルチブロック共重合体のHybrid型人工臓器用細胞基質としての検討
三宅 仁
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1986 年 15 巻 1 号 p. 256-259

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抄録
代謝・内分泌機能をもつハイブリッド型人工臓器開発の基礎的検討として, 親水一疎水のミクロ相分離構造とさまざまな表面荷電を合わせもつことができるマルチブロック共重合体を細胞基質として応用すべく実験を行なった結果と考察について述べる。新たにフィルム短冊法と呼ぶべき回転培養法の変法を考案し, 培養実験を行なった。その結果, 表面荷電のない未処理材料およびプラス荷電材料において良好な細胞付着・増殖が位相差顕微鏡および走査型電子顕微鏡観察によって認められ, 短期(2日目)では未処理材料が, 長期(5日目)ではプラス荷電材料が優れていた。プラス・マイナス両荷電をもつモザイク荷電材料はいずれも不良であった。これらの結果から, フィルム短冊法により、壁面付着型の細胞も浮遊状態として培養可能であることが明らかとなり, マイクロキャリア法など従来の手法との比較検討の結果, 同等の成績が得られる可能性が示唆されたと考える。
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© 一般社団法人 日本人工臓器学会
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