人工臓器
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血液凝固反応に及ぼす諸因子の影響
山本 一英竹沢 真吾酒井 清孝板垣 一郎森 有一
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1986 年 15 巻 1 号 p. 269-272

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抄録

血液と接触する人工材料表面における血栓の形成は、材料の性質と血液の流動状態に左右される。
本報では、血液の流動状態が内因系凝固因子、血小板の凝固系に与える影響についての基礎的検討と材質についての比較検討を行った。実験には、円錐―平板型回転粘度計を用い、セル材質はポリカーボネートおよびPVC/PEOを使用した。shear rateが上昇すると凝固時間が延長し、血小板のADP、Collagen凝集能の低下や血小板からのLDHの放出が観察され、凝固因子、血小板が損傷をうけているものと推察された。血小板数はshear rateをかけた後に、その減少が認められた。PVC/PEOポリマーをコーティングしたセル中では、凝集が抑制され、抗血栓性材料として有用であることがうかがえた。

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© 一般社団法人 日本人工臓器学会
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