in vitroにおける血小板と高分子材料の反応を調べるため, 多血小板血漿 (PRP) にCaイオンを添加して血小板の粘着性, 形態変化を検討した。PRPを生理食塩液やHEPES緩衝液で希釈することは好ましくなく, PRPにCa++を1~2mM添加する方法がよいように思われた。Ca++の添加効果は, 血小板の粘着数よりも, 形態的変化の方により強く影響が現われた。Silastic, Biomer, Cadiothane, テフロン, エチレンービニルアルコール共重合体など18種の高分子材料について血小板の粘着数と形態変化を調べた。粘着血小板数には材料によってあまり大きな違いは認められなかったが, フッ素系の高分子やBiomer, シリコーンゴムなどの粘着血小板数がやや小さかった。これに対して, 血小板の形態にはかなりの違いが認められ, 比較的正常な円盤状をしたものから, それが扁平につぶれたもの, 偽足様突起を出したものなどいろいろな形態の血小板が存在した。