人工臓器
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人工臓器と感染ペースメーカー
村瀬 允也阿部 稔雄石原 智嘉
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1986 年 15 巻 1 号 p. 63-66

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抄録

ペースメーカ植え込み手術症例505例を対象として, 感染発生例について検討した。観察期間は平均5.6年, 2832患者・年であった。感染は20例(3.9%)に発生し, 142患者・年に1回の発生であらた。前回手術より感染発生までの期間により6ケ月以内13例, 1年以上7例に大別できる。6ケ月以内例は前回手術と関連した感染と考えられ, 手術回数70回に1回の発生であった。1年以上経過後発生例では旧型の大きいジェネレーターに発生しており, 2138患者・年の観察期間で305患者・年に1回の発生であり, 新型の小さいジェネレーターには692患者・年で発生がなかった。敗血症進展例3例中2例が死亡したが, 積極的に電極除去をおこなっで以後の死亡例はない。経静脈電極の改善により, 植え込み手術の容易, 安定性が得られたが, 感染時の抜去が困難で治療に難渋する。植え込み手術時の厳重な無菌操作と各種の工夫が必要であり, 感染発生時に抜去が容易な電極の開発がのぞまれる。

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© 一般社団法人 日本人工臓器学会
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