人工臓器
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補助人工心臓の臨床応用における評価と問題点
高野 久輝中谷 武嗣藤田 毅阿久津 哲造曲直 部寿夫
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1986 年 15 巻 1 号 p. 85-88

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抄録
独自の補助量を自動制御しうるLVADシステムを開発し、動物実験での検討を重ね、幼児1例を含む7症例に適用し、5例の高度心不全を回復せしめた。自動WADシステムは1)全身の循環を良好に維痔し、2)初期に左室負荷を減じ、徐々に負荷を増加させる事により損傷心筋の治癒代償を促進して心不全を回復せしめた。3)これら循環制御は左房と総拍出量の定値制御による補助量自動制御機構により、適正に、半ば自動的に行なわれた。4)従来の補助循環の限界を越えた高度心不全に対し、'極めて強力な補助手段であった。5)なお右心不全合併でも、肺血管抵抗が正常ならば、右房圧を高めることとカテコラミンの併用により、左側VADのみでも全身循環を維持し得た。6)一方適用が遅延すると不全心が回復しても他臓器に後遺症を招来した。この結果未だ長期生存を見ていない。7)臨床においては、完全なる救命のためには、LVADの適用の時間的判断と速やかな実行が必要である。
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© 一般社団法人 日本人工臓器学会
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