人工臓器
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運動負荷時における完全人工心臓の制御方法
―心拍出量から見た評価―
前田 潔井街 宏鎮西 恒雄藤正 巌中島 正治満渕 邦彦阿部 裕輔浅野 雅広折目由 紀彦畑 博明保坂 茂河野 明正小野 俊哉渥美 和彦
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1987 年 16 巻 1 号 p. 230-235

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抄録
人工心臓で置換したヤギにトレッドミルによる運動負荷を与え, 負荷に伴う代謝, ホルモン分泌, 血行動態などの変化を測定し, 運動負荷量に対する入工心臓置換動物の適正心拍出量, およびその制御法につき考察した。負荷は原則として速度1.8~7.2km/hで時間は3分とした。人工心臓の拍出量は一定値に制御し, 血行動態として平均大動脈圧, 左房圧, 右房圧を連続計測し, 血液ガス分析, 動静脈酸素較差, 血中乳酸値, 血中カテコラミン値を測定した。また対照として自然心臓を持つヤギの上行, 下行大動脈, 肺動脈, 腎動脈に電磁流量プローべを埋えこみ, 同様の負荷を与え, 計測を行った。この結果, 自然心ヤギと同じように歩く1.8km/hの低負荷でも, 人工心臓の拍出能力は駆動条件の変更無しでは自然心に比べて明らかに劣っており, 血中乳酸, カテコラミンに異常値が計測されたことから, 運動時での人工心臓の制御法につき, 今後の指針を得た。
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© 一般社団法人 日本人工臓器学会
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