人工臓器
Online ISSN : 1883-6097
Print ISSN : 0300-0818
ISSN-L : 0300-0818
セルロース・トリアセテート透析器の低分子タンパク除去効果
宍戸 寛治雨宮 均大友 正浩橋本 泰樹衣笠 えり子秋沢 忠男北岡 建樹出浦 照國越川 昭三
著者情報
ジャーナル フリー

1988 年 17 巻 1 号 p. 103-106

詳細
抄録
安定期透析患者13名を対象に, β2-microglobulin (β25-MG)を代表とする低分子タンパク領域貯留物質除去を目的に開発されたセルローストリアセテート透析器FB-190U GAを用いて血液透析を施行し, その性能と安全性を検討した。
透析開始30分後のUFRは30.3mlrmmHg・hr, β2-MGのsieving coeffident (SC)は0.52を示し, これらの治療中の低下は軽度であった。小分子量物質のクリアランス, 除去率は従来の透析器と同等以上の性能を示した。β2-MGのクリアランスは58.3ml/min, 除去率は63%に達し, 従来の各種血液浄化法に比して最も高いβ2-MG除去効果を示した。一方, 治療中の末梢泊血球数血小板数活性化補体の変動は軽度で, endotoxin混入による副作用もみられず, アルブミン喪失も軽微であった。本透析器の継続使用により血清β2-MGの維持レベルは急速に低下した。以上より, 本透析器はβ2-MG除去療法に極めて有用な透析器と考えられる。
著者関連情報
© 一般社団法人 日本人工臓器学会
前の記事 次の記事
feedback
Top