1988 年 17 巻 1 号 p. 259-262
血液浄化における膜性能劣化に及ぼす血液凝固系の影響を評価する目的で、0.65-0%の接触相活性化物を含んだポリスルホン血漿分離膜を調製し、in vitroヘパリン血による循環実験を行った。カリクレインの優位な上昇と、C3aの上昇及び膜面への細胞粘着との間にはよい相関性がみられたが、血小板放出反応とは直接対応づけられなかった。4倍濃度のヘパリン血あるいはACD血では血小板活性化は抑制されるがカリクレインの生成はおさえられなかった。また、犬を用いた3.5時間の血漿分離実験では接触相活性系はコントロールに比べ膜間圧差の上昇と膜透過性能の低下を示した。以上より膜面での接触相活性化は、ヘパリン存在下においても細胞粘着を通じて膜性能を劣化させるものと考えられた。