抄録
β2-microglobulin (BMG)などの小分子蛋白を積極的に除去しようと開発された種々のhigh performance membraneモジュールの性能をin vitro実験をつうじ評価した。閉鎖循環回路系定速濾過実験の結果, 再生セルロース膜(RC), セルローストリアセテート膜(CTA)では原液血漿タンク中BMG濃度は一定値を保ったが, ポリスルホン(PS), ポリメチルメタアクリレート(PMMA)の合成膜で吸着現象がみられた。BMGのふるい係数の値ではRC 0.444, PS 0.516, CTA 0.924が得られたが, PMMAでは濾液中にBMGは検出されず, 吸着のみでBMGを除去していることが明らかとなった。吸着のないRC, CTAについてさらに閉鎖循環回路系透析実験を行ったところ, BMGの拡散のみによるクリアランスの値はRC 5.44, CTA 30.27ml/minとなり, それから得られる総括物質移動係数はRC 3.70, CTA 17.83μm/minとなり, CTAで強い拡散透過能が認められた。なお4種の膜とも濾液および透析液中にアルブミンは検出されなかった。