抄録
結晶一非晶ミクロ構造を制御したポリエーテルセグメント化ナイロン610のex vivo系における抗血栓性評価をウサギ頸部動脈間シャント法により行った。汎用材料では循環血液中の血小板数および血小板粘着能が低下し, 材料表面上の血小板形態変化が著しかったのに対し, ポリエーテルセグメント化ナイロン610表面上ではそうした循環血液への影響は認あられなかった。このことは, 特定の結晶-非晶ミクロ構造表面上では吸着血小板の活性化が特異的に抑制されており, 抗血栓性材料の分子設計をする上で結晶-非晶ミクロ構造の制御が極めて有効な指標であることを示している。