人工臓器
Online ISSN : 1883-6097
Print ISSN : 0300-0818
ISSN-L : 0300-0818
異種連鎖からなるブロック共重合体表面の抗血栓性
~透過電顕による血小板内部構造変化からの考察~
阿部 一彦関口 守衛片岡 一則岡野 光夫桜井 靖久明見 仁篠原 功
著者情報
ジャーナル フリー

1988 年 17 巻 2 号 p. 495-499

詳細
抄録
ドメイン間表面自由エネルギー差を有するブロック共重合体の血小板内部構造変化に与える影響を明らかにするためにPHEMA, PSt, HEMAのモル分率が0.608でエネルギー差が約18dyn/cmのHEMA-Stブロック共重合体、FAAのモル分率が0.506でエネルギー差が約15dyn/cmのFAA-Stブロック共重合体、そしてHAのモル分率が0.72でエネルギー差が約1dyn/cmと小さいHA-Stブロック共重合体を準備し実験に供した。材料表面に粘着した血小板の内部構造変化は透過電顕を用いて解析した。その結果、HEMA-St, FAA-StはPHEMA, PSt, HA-Stに比べて血小板の内部構造変化を著しく抑制することが明らかになった。このことは異種連鎖の組み合わせをとわずブロック共重合体の抗血栓性の発現にはラメラ状のミクロ構造のみならず適度のエネルギー差が必要であることを示唆している。
著者関連情報
© 一般社団法人 日本人工臓器学会
前の記事 次の記事
feedback
Top