人工臓器
Online ISSN : 1883-6097
Print ISSN : 0300-0818
ISSN-L : 0300-0818
Fluorine-Containing Segmented Polyurethane (FPU)を用いた大動脈内バルーンの実験的検討
吉岡 幸男小柳 仁筒井 宣政
著者情報
ジャーナル フリー

1988 年 17 巻 2 号 p. 500-503

詳細
抄録
抗血栓性を有するFPUを用いて, 容量17mlの大動脈内バルーンを作成し, 雑種成犬13頭に挿入して実験を行った。駆動時の大動脈圧では, 良好なsystolic unloadingとdiastolic augmentationが得られた。血小板, 血小板粘着能, フィブリノーゲン, ACTなど血液凝固系の測定では, Cardiothaneと比較しても同等か, より良好な結果が得られた。最高24時間駆動後の, バルーン表面の走査型電子顕微鏡による観察では, FPUバルーンは, 血球成分やfibrin net workが少なく, 血栓形成は進行していなかった。Cardiothaneバルーンは, FPUと比べて付着物が多く, ほとんど全視野にわたって血栓や変形した血小板, 赤血球などが付着していた。血栓度分類では, FPU: 0.69±0.70, Cardiothane: 1.50±0.53 (mean±SD)でFPUの方がCardiothaneと比較しても, 低値(p<0.01)であった。
今後臨床応用に向けて, さらに検討を加える方針である。
著者関連情報
© 一般社団法人 日本人工臓器学会
前の記事 次の記事
feedback
Top