抄録
乳児の重症呼吸不全患者を対象としたECMOシステムの開発を行い、動物実験に試用し、良好な結果を得た。本システムの特徴は1本のカテーテルにより送脱血を行うこと、低プライミングボリュームであること、小型であることである。これにより生体に対し低侵襲でありかつ点滴と同じように容易にECMO導入を行うことが可能となった。また搬送も容易であるため、患者をECMO中に運搬することも可能となる。動物実験(7頭)では、麻酔下呼吸調節により動物を呼吸不全とした後、ECMOを開始した。ECMO開始前と開始後5~10分においてPaO2の値は79±8から111±7(mmHg)へ、PaCO2は64±11から47±5(mmHg)へ変化し良好なECMOを行うことが可能であった。またコンピュータによる流量コントロールにより生体の血行動態への影響も軽減することが可能であった。以上より本システムは乳児用ECMOシステムとして有用であると判断される。